(いよいよ今年も終わりか。ホント早いな~。年々早くなって行く。)
独立して2年半。株式会社シャイニング社長の武藤健司は、深夜のコールドジムでのトレーニングをやり終えると、一人感慨にふけっていた。
(それにしても膝が痛いな。)
よく、経営者は孤独だと言う。武藤も、(若い社員を引っ張って行くためには、自分自身がしっかりしていかなければならない。)と常々思っていて、トレーニングも心身を鍛える手段のひとつだと考えている。
(何だかいつも膝が気になる。)
元々は、新日本大学レスリング部に所属。トレーニングは嫌いではない。というよりむしろ現在の趣味。最も打ち込めるものなのだ。いわゆる“マッチョボディ”の持ち主。特に上半身はしっかりと筋肉が付いてハリがある。
(この膝、どうにかならないかな。やっぱり自己流のトレーニングは限界があるのかな。)
(そう言えば、この間の新日本大学レスリング部同期の吞み会で船木が言っていたな。彼が行っているジムはコンディショニングもやってるとか。確か表参道。)
1週間後、武藤は表参道のパーソナルトレーニングスタジオPUREFITTの門を叩いた。
担当するのはメインパーソナルトレーナーの渡辺。
「なるほど。膝は以前ケガした事があるんですね。」
「そうなんですよ。レスリングをやっていた頃に。半月板とか言うのをやっちゃって。」
つづく